うつ病は脳の病気
最新の研究でうつ病は脳の病気と明確に言われています。ストレスが原因で脳の神経の器官に影響を及ぼしている状態と考えられています。そんな脳の病気と解明されたうつ病をチェックしていきたいと思います。脳は三層の構造でできていて、一つずつの層にそれぞれ機能が備わっています。どのような機能が備わっているか一つずつチェックしていきましょう。外側の層は大脳新皮質です。言語能力や知的な活動など理性を伴う人間の脳と呼ばれる層です。真ん中の層は大脳辺縁系です。食欲や性欲、睡眠欲といった感情に関わる働きをする、動物の脳と呼ばれる層です。一番を奥の層は脳幹です。食べる事や寝る事、加えて心拍や呼吸などを司る生命を維持する器官です。爬虫類の脳と呼ばれています。この中でうつ病の症状を生み出しているのが、真ん中の層である大脳辺縁系の一部である扁桃体と言われています。扁桃体は生命の維持に関わる快と不快や、好きと嫌いを判断する部分です。野性的に良い悪いを判断して、生命の維持を脅かすような感情を記憶するのが扁桃体です。扁桃体が人に与える感情は、恐怖感や不安感、悲しみや焦燥感です。これはうつ病の症状そのものの感情だと言えるでしょう。脳には扁桃体があるからこそ危険を回避することができます。この扁桃体は動物が生存するために必要なもので、不快を感じると高度な情報処理をすることなく身体を一気に緊張状態にします。恐怖感を不快に感じるからこそ逃げようとする意志が働き、緊張状態になるからこそすぐに逃げだせる準備が整います。この扁桃体の機能は人間の祖先が大自然の中で生き抜くために備えられた機能で、今現在まで引き継がれています。なぜ、扁桃体がうつ病を引き起こす機能とされているかをチェックしていきます。この扁桃体は突然訪れた不快から、すぐに短時間で逃げ出すために備えられている器官です。そのため、長時間のストレスに耐えることができません。慢性化したストレスに対応することができなくなると、扁桃体はパニックを起こして、ネガティブな感情を送り続けることによって脳の働きを抑圧させようとします。これがうつの状態です。それによって、同時に記憶を司る器官の海馬が破壊されてしまいます。うつ病の状態で、記憶力や集中力がなくなるのは、これが原因とされています。もちろん、人には思考力が備わっているため、扁桃体が暴走することにブレーキをかけてコントロールする機能を持っています。背外側前頭前野という領域が扁桃体の暴走時にブレーキをかけて、意欲や論理的思考、ポジティブな考え方ができる能力を持っています。しかし、慢性的なストレスを受け続けた扁桃体の暴走により、ブレーキがかけられないくらいの負担になると、次第に意欲や論理的思考ができなくなってしまいます。うつ病は、扁桃体が過剰なストレスに耐え切れずに暴走してしまい、それにブレーキをかけるはずの背外側前頭前野が正常に機能しなくなることで症状が現れるようになります。これが、うつ病が脳の病気といわれるすべてです。うつ病は十分な休養と治療、周りの相互の理解をチェックして、ゆっくりと治していくことが可能です。